自己覚知という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは「自分のことをよく知っておく」という意味で、看護師のような対人支援の職業では最も大切な心得だと言える。
例えば、患者が自分以外の看護師のことを誉めていたとする。それを聞いた看護師の中には、自分はうまくできていないのかと落ち込んだ気分になる人もいる。
このような場合、他者と比較し、落ち込みやすい傾向が自分にあるということを知っておけば、落ち込んできたと感じた際の感情のコントロールが効きやすいだろう。自分が得意なことや不得意なことを紙に書き出しておくと効果的だ。
自己覚知は、転職にも役立つ。
いつでもどこでもすぐに眠れるのであれば、夜勤に向いているかもしれない。看護師同士の関係は苦手だが高齢の患者との会話は楽しいなら、高齢者施設の看護業務が向いている場合もある。人とのコミュニケーションは得意だが排泄処理だけはどうしても慣れることができない場合、産業看護師や小規模のクリニックという選択もあるだろう。
よく自己啓発の本などで、他者を変えようとせず、自分が変わろうという言葉を目にすることがある。確かにその通りだが、自分を変えるというのは実際にはなかなか難しい。
無理に変えようとせず、自分の得意不得意や性格も、自分を取り巻く環境の一つとして活かすことを考えることが重要だ。自分を知り今の環境でできる工夫をし、それでもやはり駄目だと思うのなら、転職を考えると良いだろう。
転職をする場合もしない場合も、看護師にとって自己覚知は大きな武器となる。そのため常に自分を知ることを意識してみることが大事だ。